提案改革には、発注する側のRFP(提案依頼書)の質の向上も不可欠と考えております。そこで、発注者側が「良い RFP を作成して良い提案を受けるためのポイント」を学ぶ機会の提供を目的として、ワークショップ形式の勉強会を行いました。
本テーマの勉強会は2回目の開催で、分科会メンバーを含めて、計10名の方が参加しました。
当日の様子を、下記へ簡単に報告します!
■内容
- 日時:2023/4/19(水)19:00~21:00
- テーマ:良い提案を受ける技術・RFPの書き方を身に付けるための評価基準作成
- 参加費:APMP日本支部会員は・無料
■アジェンダ
1)事前準備
まず、以下を準備して参加頂きました。
RFPを発行する「架空の設定状況(シナリオ)」を事前に読んで、準備したサンプルのRFPを基に、
第1回のワークショップで検討したRFPの評価基準と配点の案を考えていただきました。
2)ディスカッション(60分)
各自で準備した評価項目(配点)について共有後、意見交換を行い、評価項目を作成していきました。
上記1)で作成した
RFP の評価基準と配点に加え、提案依頼の考え方、依頼する業務の
スコープやゴール、検討した点やどんな選択肢を検討したのかなどの意見を交換しました。
さらに、本ワークショップを準備したRFP分科会から、ワークショップでの想定検討ポイント、
狙いなどについて、参加者と意見を交換しました。
1)2)の意見交換内容(抜粋)
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立場による評価基準の優先順位の違い
各自で優先順位を付けた評価基準を、一覧にして共有し、自分が重視したい項目順に番号を
経営目線、責任者目線、担当者目線などの前提となる立場の違い
・経営のホットボタン:経営の役に立つか、投資対効果など
・PJ責任者のホットボタン:ITの実現可能性、リスクマネジメント、投資対効果など
・PJ担当者のホットボタン:実務的な観点、プロジェクトマネジメント、一緒にPJをやっていける人材かなどの観点
会社として大切にしている観点の違い
・会社のビジョン理解・共感を優先するか、業務の実現性を重視するかなど
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ワークショップで検討した評価基準以外に重視している観点は?
・自社に合うか、最後まで一緒にやっていただけそうか
・経営者が大切にしている軸に賛同してくれる仲間、信頼 自社の考え、理念に一致しているか
・提案活動の中で、無意識の内に提案者の質疑などの応対、専門知識なども評価基準になっている
・該当案件のゴールに向かうチームメンバーとして、迎え入れられるメンバーかは見ている
・ITだと提案チームとデリバリーチームは異なる場合もあり、提案内容説明時にデリバリーチームメンバーが
含まれているかも、評価基準にいれる場合がある
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実際には、評価基準をどうつくるか
コンサルタントに依頼して作っている場合の意見があり、メリットとして、しっかりした評価項目はできるが、デメリットは
自分たちの魂が入らない場合がある。また、中立な コンサルタントに依頼しないと、特定の会社に優位な評価基準になる
場合があるため、本当に自分たちにあった業者選定ができるよう評価基準を作る必要がある。 -
評価項目はどこまで、開示するか
業者に見せる項目と、社内の業者に見せない項目も作ると評価がしやすくなるという意見がありました。
理由として、評価基準を提示すると殆どの企業がコンプライアンス(評価基準を満たす)提案を出すため、提案に
差が出にくい一般的な評価基準は、評価基準の詳細まで書いていない場合も多いが、評価基準の詳細まで書くと、
提案者のみならず、提案依頼者の認識のずれも少なくなるメリットがある
最後に、ワークショップを計画したメンバーより
「実務では提案側だが、ワークショップで提案依頼側の立場に立って検討・議論をしたことで、
提案依頼側の苦労の理解や、評価基準だけを満たした提案では依頼者は評価しにくい。
そのため、レスポンシブネスな提案の重要性を理解することができた」とのコメントを頂き、
RFP分科会活動が、参加会員の皆様の実務にも役立つことを確認できました。
【アンケートコメント抜粋】
・どのような条件で、調達をかけるのか?の観点で意見が異なることが理解できてよかった。
・評価基準書の叩き台が得られたこと、顧客の立場を体験できたこと、評価者側にも優先すべき
項目が異なることがわかった
・違う立場にたって考えることの難しさが理解できました。また、社内における立場により
意見が変わることがわかりました。
RFP分科会での今回の検討結果、今後の活動は、Meet UPなどで共有させていただきます。